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TSMC、記録的好決算も株価下落 設備投資拡大がAI関連銘柄の重荷に

Summary
世界最大の半導体ファウンドリTSMCはAI需要を追い風に過去最高の四半期利益を達成したが、設備投資計画の大幅な拡大と利益率への懸念から株価は下落し、他のAI関連銘柄にも売りが波及した。
半導体受託製造(ファウンドリ)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、人工知能(AI)向け需要の急増を背景に記録的な四半期決算を発表した。しかし、同時に公表された大幅な設備投資計画の拡大と短期的な利益率への圧力が嫌気され、同社株価は時間外取引で下落し、NVIDIAなど他の主要半導体銘柄にも売りが広がった。
AI需要が牽引した記録的な業績
TSMCが発表した2026年第2四半期決算は、市場予想を上回る好調な内容となった。AI関連の旺盛な需要が業績を力強く牽引した形だ。
- 純利益: 前年同期比77%増の7,066億台湾ドル(約220億米ドル)と過去最高を更新。
- 売上高: 402億米ドルで、市場コンセンサスの399.4億米ドルを上回った。
- 1株当たり利益(EPS): 4.31ドルとなり、アナリスト予想の3.80ドルを大幅に超えた。
同社はまた、2026年通期の売上高成長率見通しを、従来の「30%以上」から「40%をわずかに上回る」水準へと引き上げた。生成AIの進化がデータセンターにおけるCPUやアクセラレーターの需要を再燃させていることを理由に挙げている。
投資家が懸念する設備投資と利益率
Ad好決算にもかかわらず市場が売りで反応した背景には、将来の収益性に対する懸念がある。TSMCは2026年の設備投資(CAPEX)予算を、従来予想の上限であった520億~560億ドルから600億~640億ドルへと大幅に引き上げた。これは構造的な顧客需要の継続に対応するためだとしている。
一方で、第3四半期の営業利益率の見通しは約57%と、アナリスト予想を約70ベーシスポイント下回る水準を示した。最先端の2ナノメートル製造プロセスの量産立ち上げに伴うコストが、年後半の売上総利益率を圧迫するとみられている。
市場への影響と今後の論点
この発表を受け、TSMCの株価は時間外取引で約4%下落。最大顧客であるNVIDIAも1.3%安、AMDは2.7%安となるなど、AI関連の半導体銘柄が軒並み売られた。市場では、半導体業界の成長が構造的(セキュラー)なものか、あるいは景気循環的(シクリカル)なものかという議論が再燃している。
Vital Knowledgeのアナリスト、アダム・クリサフリ氏は、「生産能力の増強が加速することは、もし業界が循環的であるならば、買いではなく売りのシグナルとなりうる」と指摘する。設備投資の増加は、短期的なフリーキャッシュフローの減少や減価償却費の増加を意味し、株主還元の遅れにつながる可能性がある。そのため、過去最高益という後方視的な好材料よりも、将来のキャッシュ創出力に対する懸念が株価の重荷となる「ビート・アンド・ウォーリー(好決算でも懸念から売られる)」の展開となった。