Story
レアアース新興企業リエレメント、米国防総省からの8000万ドル融資申請を撤回

Summary
米国のレアアース(希土類)新興企業リエレメント・テクノロジーズが、国防総省からの8000万ドルの融資申請を取り下げたことが政府高官の話で明らかになった。中国への依存脱却を目指す米国の重要鉱物サプライチェーン構築計画に影響が出る可能性がある。
米国のレアアース(希土類)精製を手掛ける新興企業リエレメント・テクノロジーズが、国防総省に申請していた8000万ドル(約120億円)の融資を受ける計画を中止したことが、ロイターが取材した2人の政府高官の話で明らかになった。この融資は、中国が支配する重要鉱物分野で国内生産を促進するトランプ政権の広範な取り組みの一環だった。
融資撤回の背景
政府高官らによると、同社が連邦政府のデューデリジェンス(適格性評価)要件を満たすのに苦慮したことが融資中止の背景にあるという。匿名を条件に語った高官らは、デューデリジェンスに関する具体的な問題点については詳細を明らかにしなかった。
一方、リエレメントのマーク・ジェンセン最高経営責任者(CEO)は6月にロイターに対し、政府融資は不要と判断し、民間投資によって成長資金を賄う方針だと説明。「バランスシートに負債を計上するとコストが増える」と述べ、自己資本による資金調達の方がコストを抑制し、中国企業と直接競争する上で有利だと語った。
サプライチェーン戦略への影響
この融資は、昨年11月に米国防総省の戦略的資本室が発表した総額7億ドルの重要鉱物関連融資パッケージの一部だった。このパッケージには、磁石メーカーのヴァルカン・エレメンツに対する6億2000万ドルの融資も含まれている。
Ad計画では、リエレメントが精製したレアアースをヴァルカンが使用し、米軍向けの磁石を製造するという、国内で完結するサプライチェーンの構築が目指されていた。ヴァルカンへの融資は予定通り進んでいると政府高官は認めており、リエレメントの融資撤回がこの「エコシステム」構築にどのような影響を与えるかが注目される。
今後の資金調達と政治的文脈
リエレメントは政府融資の代わりに、すでに民間からの資金調達を進めている。今年初めには、トランジション・エクイティ・パートナーズから2億ドルの投資を受け、日本の三菱マテリアルも非公開額の出資に合意している。しかし、政府からの融資を失うことで、将来的に民間から資金を調達する際の借入コストが上昇する可能性がある。
この融資パッケージを巡っては、ヴァルカンの投資家にドナルド・トランプ・ジュニア氏がパートナーを務めるプライベートエクイティファンドが含まれていることから、民主党議員から選定プロセスの透明性について疑問の声が上がっていた。ホワイトハウス関係者は個別の融資状況へのコメントを避けつつも、「米国のサプライチェーン強化のため、リエレメントとの様々な取引形態を引き続き模索している」と述べている。