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JPモルガン、原油価格の先行きに警鐘 中東紛争で「一時的な供給寸断」の前提が揺らぐ

Summary
JPモルガンは、イランでの戦争開始から6ヶ月以上が経過し、紛争の先行きが不透明になる中で原油価格の予測が困難になっていると指摘。重要なエネルギーインフラへの攻撃を受け、「供給寸断は一時的」という従来の市場の前提が見直しを迫られている。
JPモルガンの石油アナリストは、イランでの戦争開始から6ヶ月以上が経過し、紛争終結への道筋がますます予測不能になっているとの見解を表明した。これは、供給寸断は一時的であるという市場の基本的な前提が揺らぎ始めていることを示唆しており、原油価格の先行きに対する不透明感を強めている。
緊迫化する中東情勢と原油価格
中東のエネルギー供給リスクは、ホルムズ海峡の通航制限に加え、代替輸送ルート自体が物理的な損害を受ける事態にまで拡大している。これにより、「紛争による供給の混乱は一時的ですぐに回復する」という従来の予測の前提が維持困難になっている。
直近の報道によると、サウジアラビアの東西を結ぶ主要な石油パイプラインは、3つのポンプステーションが損傷し、日量約400万~500万バレルの輸送能力が停止した。イラン革命防衛隊はホルムズ海峡を通過しようとしたタンカーを攻撃したと発表しており、地政学的リスクは依然として高いままだ。
原油価格は戦争勃発後に急騰し、その後は供給回復への期待から一部下落したものの、依然として高水準にある。
- 戦争勃発直前の2月27日、ブレント原油は1バレルあたり72.48ドル、WTI原油は67.02ドルだった。
- 9月15日にはそれぞれ108.75ドル、105.83ドルまで上昇。
- 9月17日にはそれぞれ104.82ドル、101.91ドルに下落したが、戦前の水準と比較すると依然として約45~52%高い。
最近の価格下落は、サウジアラビアがパイプライン輸送能力の一部を数日以内に回復させるとの期待感を反映したものであり、供給リスクが解消されたことを意味するものではない。
JPモルガンの分析:「一時的」との前提が崩壊
AdJPモルガンのアナリスト、ナターシャ・カネヴァ氏らはレポートの中で、同行がこれまで想定していた経済的な「レッドライン」が次々と超えられたと指摘。原油価格の100ドル超えや米国でのガソリン価格高騰といった事態が発生したにもかかわらず、紛争が沈静化する明確な道筋は見えていない。
同レポートは、現在の市場を「緊張状態にある(on edge)」と表現。9月時点の石油の公正価値を1バレルあたり約90ドルと見積もる一方、実際の取引価格は約106ドルに達していると分析した。この差額約16ドルは、すでに寸断されている日量1000万バレルに加え、さらに日量400万バレルの供給が失われるリスクを市場が織り込んでいることを示唆しているという。
もし中東からの供給が現在の水準で推移した場合、2026年第4四半期および12月の原油価格は、現在の予測(それぞれ約80ドル、78ドル)を7ドルから8ドル上回る可能性があると同行は試算している。
ウォール街で分かれる供給回復シナリオ
大手金融機関の間でも、供給回復のペースを巡って見解が分かれている。この見通しの違いが、各社の価格予測の差に繋がっている。
- ゴールドマン・サックスは、2026年12月のブレント原油価格予測を85ドルに引き上げた。これは、湾岸地域の産油量が2027年になっても戦前の水準を日量約50万バレル下回るという基本シナリオに基づいている。
- 一方、シティグループは、第4四半期にホルムズ海峡が再開されるとの前提のもと、同四半期のブレント原油価格予測を70ドルで維持している。ただし、この予測はサウジのパイプライン損傷が明確になる前のものだ。
このように、ウォール街の予測の隔たりは、本質的に「いつ、どの程度の」国際的な石油供給が回復するかという点に関する不確実性の高さを反映している。投資家にとっては、エネルギーコストと金利上昇圧力が想定より長く続く可能性を考慮する必要がある。