Story
NYタイムズ記者への召喚状、報道の自由めぐり米司法省と対立

Summary
米検察が、大統領専用機の安全保障問題に関する報道をめぐり、ニューヨーク・タイムズの記者5人に大陪審での証言を求める召喚状を発行。報道の自由をめぐる法的な対立が深まっています。
米ニューヨーク州マンハッタンの連邦検察が、ニューヨーク・タイムズ(NYT)の記者に対し、大統領専用機の安全保障に関する情報漏洩捜査の一環として大陪審での証言を強制する召喚状を発行しました。この動きは、米国における報道の自由と政府の捜査権限との間の緊張関係を浮き彫りにしています。
召喚状の背景
ロイター通信が確認したNYTの社内メールによると、マンハッタンのジェイ・クレイトン連邦検事は、同社の記者5人に対し、連邦法違反の疑いに関する証言を求める召喚状を発行しました。これは、記者らがカタールから寄贈された新しい大統領専用機(エアフォースワン)の安全保障上の欠陥について報じたことを受けたものです。この問題により、トランプ大統領は最近の国際歴訪で旧型の政府専用機を使用せざるを得なくなりました。
NYTのジョー・カーン編集主幹は、この召喚状を「ジャーナリストを脅迫する露骨な試み」と非難し、法的に争う姿勢を明確にしています。一方、司法省は召喚状の存在を肯定も否定もしていませんが、捜査の対象は機密情報を漏洩した人物であり、ジャーナリストではないとの立場を示しています。
報道の自由と法的保護
米国では、ジャーナリストが連邦政府の召喚状に対して有する法的保護は限定的です。合衆国憲法修正第1条は報道の自由を保障していますが、連邦最高裁判所は、嫌がらせや悪意に基づくものでない限り、記者は召喚状を拒否できないとの判断を示しています。
Ad- 限定的な特権: 連邦裁判所は、情報の重要性や他に入手手段がないかなどを考慮し、報道の自由とのバランスを取る「限定的な特権」を認めています。しかし、この保護は民事訴訟で最も強く、刑事事件の大陪審捜査では最も弱くなります。
- 連邦シールド法の不存在: ニューヨーク州など多くの州には、記者が情報源を保護することを認める「シールド法」が存在しますが、連邦レベルでは同等の法律は存在せず、州法は連邦政府の召喚状には適用されません。
今後の展開と潜在的影響
NYTは、召喚状が過度に広範であることや、悪意に基づくものであること、あるいは憲法修正第1条に違反するとして、裁判所に召喚状の無効化を求める可能性があります。また、司法省が内部規定(情報が不可欠であるか、他の手段で入手可能かなどを検討し、まず報道機関と交渉すること)に違反したと主張することも考えられます。
記者が証言を拒否し続けた場合、法廷侮辱罪に問われる可能性があります。その場合、証言に応じるまで収監されたり、罰金を科されたりするリスクがあります。過去には、ワシントン・ポストやウォール・ストリート・ジャーナルの記者が同様の召喚状に異議を唱え、司法省がそれを取り下げた事例もあり、今後の法廷での判断が注目されます。