Story
AIは規制するには速すぎ、減速するには重要すぎる=BofA

Summary
バンク・オブ・アメリカは、AI開発を巡る競争と戦略的重要性が規制の動きを上回り、半導体需要を長期的に牽引し続けるとの見方を示した。セクターのバリュエーションは、急成長にもかかわらず依然として割安感があると指摘している。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)は最新の分析で、人工知能(AI)開発のペースを巡る最近の議論は、長期的な巨大市場の形成という大きな流れから見れば「ノイズ」に過ぎないと指摘した。同行は、AI関連の半導体需要を牽引するのは規制ではなく競争であり、セクターに対して強気の見通しを維持している。
競争が促す「止められない」開発
BofAは、現在のAI開発状況を「古典的な囚人のジレンマ」と表現。個々の参加者は全体としての自制を望むかもしれないが、米国と中国、大手クラウド事業者と新興企業、各国の国家プログラムなどが競い合う中、個別に開発の手を緩める余裕はないと分析する。
同行は、AI関連の設備投資が2020年代末までに3倍以上の3兆ドル超に急増する可能性があると予測。ネットワーク使用率が100%に達していることや、旧世代チップのレンタル料金が上昇していることなどを、旺盛な需要の証左として挙げている。
規制は業界主導の自主規制に
米国政府にとってAIは、対中競争、生産性とGDP成長の維持、技術的リーダーシップの確保という点で戦略的に極めて重要となっている。このため、政策立案者が安全策を検討しているとしても、国内企業の活動を大幅に制限する可能性は低いとBofAは見ている。
Ad最終的な規制の形は、金融業界におけるFINRA(金融業規制機構)や映画業界のMPA(米国映画協会)のような業界主導の自主規制に近いものになると予想。AIの導入や設備投資のペースを著しく鈍化させるような政府介入には至らないとの見方だ。
依然として魅力的なバリュエーション
フィラデルフィア半導体指数(SOX)は年初来で67%上昇しているが、BofAはバリュエーション面で依然として魅力的だと評価している。同指数の予想株価収益率(PER)は19倍でS&P 500種株価指数と同水準だが、前年同期比の利益成長率は139%と、市場平均の約7倍に達する。
24カ月先の予想PERは14.8倍と、S&P 500に対して11%のディスカウントで取引されている。約30%の成長が見込まれるにもかかわらずこの水準にあることは、AI投資の持続性に対する「過度な」懐疑論を反映しているとBofAは指摘した。短期的には米中間選挙やマクロ経済への懸念から慎重な姿勢を崩していないものの、長期的にはセクターへの強気な見方を維持している。