Story
オラクル株、S&P格下げも上昇 AI投資で1670億ドルの債務が重荷に

Text size
Background
S&Pグローバル・レーティングがオラクル(NYSE: ORCL)の長期発行体格付けを引き下げたにもかかわらず、同社の株価は9日の取引で2.7%上昇した。市場は巨額のクラウド契約受注残高を好感したが、人工知能(AI)分野への大規模投資に伴う財務リスクが浮き彫りとなっている。
S&P、格付けを「BBB-」に引き下げ
S&Pはオラクルの格付けを「BBB」から「BBB-」へ1段階引き下げた。見通しは「安定的」としている。
「BBB-」は投資適格級としては最も低い水準であり、投機的等級(いわゆるジャンク級)まであと1段階という位置付けだ。大手ハイテク企業にとって、この格下げは財務上の大きな転機となる。
AI投資が財務を圧迫
格下げの背景には、オラクルのAIインフラへの大規模な事業転換に伴う構造的リスクの高まりがある。S&Pは、財務状況に複数の懸念点があると指摘している。
- 設備投資の急増: 2027年度の設備投資額は、AIチップ部品やデータセンター建設のコスト増を背景に、従来の600億ドルの予想から900億~950億ドルに急増すると予測されている。
- キャッシュフローの悪化: 2027年度のフリー・オペレーティング・キャッシュフローの赤字は420億ドルに達し、従来の240億ドルの赤字予想からほぼ倍増する見込み。
- レバレッジ比率の上昇: 調整後負債レバレッジ比率は2027年度に4倍台半ばに達し、S&Pが「BBB」格付けで許容する水準を超えると予想される。
Ad同社の総負債額は1,670億ドルに上る。
市場の反応と今後のリスク
格下げのニュースにもかかわらず、投資家はオラクルが抱える6,380億ドルという驚異的なクラウド契約の履行義務残高(受注残)を重視した。これが当日の株価を押し上げた主な要因とみられる。
しかし、懸念材料も存在する。特に顧客の集中リスクは深刻で、AIスタートアップのOpenAIが履行義務残高の約半分を占めている。変動の激しいAI業界の競争環境や収益化の動向次第では、オラクルは特有のリスクに晒されることになる。
こうした財務状況に対応するため、オラクルは株式の希薄化を伴う資金調達を積極的に進めている。2026年2月には50億ドルの強制転換優先株を発行しており、年内にはさらに200億ドルの株式発行を計画している。