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国債価格が急落、インフレ懸念で利回りは数年来の高水準に

世界的な国債の売りが6営業日連続で続き、欧州、アジア、北米の主要国の借入コスト(利回り)が数年来、あるいは数十年ぶりの高水準に達した。中東情勢の軍事的エスカレーション、人工知能(AI)分野での大型社債発行、そして中央銀行の継続的なタカ派姿勢という複合的な要因が、債券市場からの歴史的な資金流出を加速させている。
主要国の利回りが軒並み急騰
欧州では、政策金利に敏感なドイツの2年物国債利回りが6営業日続伸し、2024年以来の最高水準となる2.983%を記録した。長期債はさらに価格が下落(利回りは上昇)し、指標となるドイツ10年物国債利回りは2011年以来の3.370%、30年物利回りは同じく2011年以来の3.845%に達した。フランスの10年物国債利回りも4.244%まで上昇し、2008年の金融危機時以来の水準となっている。
アジア太平洋地域でも債券売りは広がりを見せている。
- オーストラリア: 10年物国債利回りは5.205%に急騰し、2011年以来の高水準を更新した。好調な国内総生産(GDP)と予想を上回る7月のインフレ率を受け、オーストラリア準備銀行が年内に追加利上げに踏み切るとの観測が強まった。
- 日本: 10年物国債利回りは3.000%を上回る水準で推移し、1996年以来の高値圏にある。日本銀行の超金融緩和策の下で数十年にわたり世界で最も低い利回りを維持してきた市場が、歴史的な転換点を迎えている。
インフレ再燃を警戒する市場
Ad今回の世界的な債券売りは、伝統的な資産間の力学が崩れていることを示唆している。通常、地政学的危機においては国債が「安全な避難先」として買われるが、今回は逆に積極的に売却されている。これは、中東での軍事衝突がエネルギー価格主導のインフレを長期化させるリスクを、市場が織り込んでいるためだ。
ホルムズ海峡を巡る米国とイランの緊張は、原油価格を1バレル90ドル超へと押し上げた。世界で最も重要な石油輸送路の一つが滞る可能性は、輸送コストや消費者燃料価格に直接波及し、インフレを再燃させる恐れがある。これにより、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめとする中央銀行が金利を据え置くことや、利下げに転じることが極めて困難になるとの見方が強まっている。
AI関連の社債発行が需給を圧迫
地政学的リスクに加え、記録的な規模の社債発行も市場の重荷となっている。大手テクノロジー企業がAIインフラ、データセンター建設、先端半導体調達の資金を確保するため、かつてないペースで起債を実施している。
この歴史的な量の投資適格社債が市場に供給されることで、国債と機関投資家の資金を奪い合う形となっている。さらに主要中央銀行が量的引き締め(QT)によってバランスシートを縮小している時期と重なるため、債券の需給は一層逼迫している。市場参加者は増大する供給を吸収するためにより高い利回り(タームプレミアム)を要求しており、国債利回りを数十年ぶりの領域へと押し上げる一因となっている。