Story
米NTSB、FAAの安全勧告への回答の3分の1を「容認できず」と批判

Summary
米国家運輸安全委員会(NTSB)は、2025年の致命的な空中衝突事故後に連邦航空局(FAA)へ出した安全勧告33件のうち11件への回答を「容認できない」と評価した。特に重要な衝突回避システムの義務化が進んでいないことが指摘されている。
米国家運輸安全委員会(NTSB)は、2025年にワシントン近郊で発生した空中衝突事故を受けて連邦航空局(FAA)に提示した安全勧告のうち、33件中11件に対するFAAの回答を「容認できない」と評価した。この事故は過去20年以上で最悪の航空災害であり、規制当局間の見解の相違が航空業界の安全体制への懸念を再燃させている。
背景:67人が死亡した空中衝突事故
この問題は、2025年1月にロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港近郊で発生した、アメリカン航空のリージョナルジェット機と米陸軍のブラックホーク・ヘリコプターの空中衝突事故に端を発する。この事故では67人が死亡した。
NTSBは事故調査報告書で、FAAによる「組織的な欠陥」が事故につながったと結論付けた。具体的には、FAAが航空機とヘリコプターを分離するための安全策を講じないまま、空港近辺でのヘリコプターの飛行を許可したことや、飛行ルート変更の勧告に対応しなかったことなどが原因とされた。
争点は衝突回避システム「ADS-B In」
NTSBが特に問題視しているのは、重要な安全システムである「ADS-B In」の義務化をFAAが受け入れていない点だ。NTSBのジェニファー・ホメンディ委員長によると、このシステムがあれば、旅客機のパイロットには衝突の59秒前、ヘリコプターの乗員には48秒前に警告が発せられた可能性があるという。
AdNTSBは、規制当局が勧告に同意しない場合、NTSBが懸念を解消できないと判断する代替案を提示した場合、または適時に行動を起こさなかった場合に、その回答を「容認できない」と分類する。ホメンディ委員長はロイターに対し、「悲劇の後に何度も何度も勧告しなければならない状況が、あと何十年続くのか」と述べ、FAAの対応の遅れに強い不満を示した。
FAAの対応と今後の見通し
FAAはロイターが確認した書簡の中で、6つの主要都市でヘリコプターの飛行ルートを見直しており、すでに4都市での見直しを完了したことや、航空機とヘリコプターを分離するための指令を発出したことなどを説明している。しかし、NTSBはFAAが「ADS-B In」の義務化に関する規則を策定する意向を示していないと指摘している。
この問題は議会にも持ち込まれており、下院は4月に包括的な航空安全改革法案を可決した。一方で、上院で可決された別の法案は下院での可決に至っておらず、法整備の先行きは不透明な状況だ。NTSBと事故の遺族は、引き続き議会に対して対策を講じるよう働きかけていく方針だ。