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JPモルガン、欧州鉄鋼株の投資判断を引き上げ 新輸入規制を好感

JPモルガンは、7月1日に発効した欧州連合(EU)の新たな輸入制限措置を好感し、欧州の鉄鋼セクターに対する強気な見方に転じた。同行はフェストアルピーネとザルツギッターの投資判断を2段階引き上げたほか、アルセロールミタルの評価も改善し、対象銘柄の株価は急騰している。
投資判断引き上げの背景
JPモルガンは、今年3月9日に中東情勢の緊迫化による需要破壊とコスト増を懸念し、同セクターの投資判断を引き下げていた。しかし、ドミニク・オケイン氏率いるアナリストチームは金曜日のレポートで、その懸念は「現実化しなかった」と指摘。実際、欧州の鉄鋼株指数はこの間10%上昇している。
今回の格上げの主な要因は、7月1日に施行されたEUの新たな関税割当制度(TRQ)である。この新制度は、EUへの鉄鋼輸入量を約40%削減し、割当量を超えた分には50%の関税を課すもの。これにより、1000万トン以上の需要が欧州の生産者にシフトする可能性があるとJPモルガンは分析している。
市場への影響と今後の見通し
この格上げを受け、ドイツ市場ではザルツギッターの株価が一時10.3%、フェストアルピーネが7%近く上昇した。アムステルダム市場でもアルセロールミタルが5%高となった。
AdJPモルガンは、新制度による価格決定力の上昇を背景に、欧州の熱延広幅帯鋼(HRC)価格見通しを上方修正。第4四半期は1トンあたり700ユーロから725ユーロへ、2027年通期では700ユーロから750ユーロへと引き上げた。また、第3四半期末までに欧州での在庫補充サイクルが始まると予想している。
セクター全体の2027年のEBITDA(利払い・税・償却前利益)は2026年比で20%以上の成長を見込んでいる。第2四半期の決算については、スポット価格と収益計上のタイムラグから大きなサプライズはないとしながらも、第4四半期には力強い業績回復が期待されるとしている。
個別銘柄の評価
JPモルガンは各社の投資判断と目標株価を次のように設定した。
- フェストアルピーネ(Voestalpine): 投資判断を「アンダーウエート」から「オーバーウエート」へ2段階引き上げ、目標株価を50ユーロに設定。契約ベースの販売が多く収益が比較的安定しているにもかかわらず株価が出遅れている点を指摘し、2028年度までに約40%のEBITDA成長を予測。
- ザルツギッター(Salzgitter): 同じく「アンダーウエート」から「オーバーウエート」へ引き上げ、目標株価は65ユーロとした。年間契約の比率が約20%と低く、「鉄鋼スポット価格に対する感応度が最も高い」ため、価格回復局面で最大の収益改善が見込めると評価。
- アルセロールミタル(ArcelorMittal): 「アンダーウエート」から「中立」へ引き上げ、目標株価は45ユーロから57ユーロに修正。7月30日の決算発表ではポジティブサプライズを予想していないものの、2026年から28年にかけての収益軌道については引き続き前向きな見方を示した。