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原油市場の「最終形見えず」 JPモルガン、イラン紛争長期化で不透明感増大と指摘

JPモルガンは17日に公表したリポートで、米国とイランの紛争開始以来初めて、原油市場に関する明確なベースラインシナリオ(基本的な見通し)が描けない状況にあると指摘した。同行のアナリストは「我々には、この最終形をどうモデル化すればよいのか分からない」と述べ、地政学的な不確実性が極めて高まっているとの認識を示した。
供給減と需要破壊の綱引き
同行のリポートによると、紛争が6ヶ月に及ぶ中、市場は異例の状況に直面している。大規模な供給障害と、それを相殺するほどの需要破壊が同時に発生しているためだ。この綱引きが、価格の急騰を抑制してきたと分析している。
- 紛争開始以降の供給障害:日量1000万バレルと推定
- 世界の石油需要:前年同期比で日量440万バレル減少
- 紛争開始以降のブレント原油平均価格:1バレル=94ドル
現在のブレント原油価格は1バレル=106ドル近辺で推移しているが、JPモルガンは9月の公正価値を約90ドルと試算。市場がさらなる供給喪失リスクを織り込んでいることを示唆している。
地政学リスクと在庫が鍵
AdJPモルガンは、中東全域で高まるリスクを指摘。具体的には、バブ・エル・マンデブ海峡での船舶航行への脅威や、サウジアラビアの輸出ルートへの攻撃などを挙げている。また、ロシアの製油施設やウクライナの都市への攻撃も、世界的なエネルギー供給への継続的な脅威となっている。
一方で、価格の急騰が抑えられている背景には、想定よりも在庫の取り崩しペースが緩やかだったことがある。紛争開始以降、世界の原油・石油製品在庫は約5億5500万バレル減少したが、これは同行の当初予測の約3分の1にとどまる。中国、欧州、日本、韓国などになお十分な在庫が存在し、当面の価格抑制要因として機能しているという。
長期化すれば価格上振れのリスク
しかし、同行は現状が長く続くとは見ていない。中東での供給障害が続けば、いずれ在庫は減少し、市場は需給バランスを保つためにさらなる需要破壊に依存せざるを得なくなる。その場合、原油価格が年後半にかけて上昇する可能性があると警告する。
JPモルガンは「要するに、今のところは価格を抑制するだけの備えがまだあるということだ」としながらも、紛争の出口戦略が見えない中で、市場の先行きは極めて不透明であると結論付けている。