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吉利汽車、フォードのスペイン工場でEV生産へ 欧州向けモデルを共同開発

中国の自動車大手、吉利汽車(Geely Auto)が米フォード・モーターのスペイン・バレンシア工場で電気自動車(EV)のSUVを生産し、両社が共同で欧州市場向けの新モデルを開発することが明らかになった。この提携は、欧州での現地生産を急ぐ中国メーカーと、余剰生産能力の活用を目指す既存の大手メーカー双方の戦略的利害が一致した形だ。
提携の概要
両社が23日に発表したところによると、設立される合弁事業はフォードが66%、吉利が33%を出資する。吉利ブランドのEV・SUVの生産は、バレンシア工場で2028年に開始される予定だ。
- 生産される最初のモデルは、すでに欧州で販売されている「EX5」となる。
- 2車種目は現在開発中。
- さらに両社は、完全EV、プラグインハイブリッド、航続距離延長型など、複数のパワートレインを持つクロスオーバーSUVを共同開発し、これも2028年に生産を開始する計画。
フォードの欧州責任者ジム・バウンビック氏はロイターに対し、「工場を本格的に稼働させることができる」と述べ、稼働率向上への期待を示した。吉利のシニア・バイスプレジデントであるビクター・ヤン氏も「現地化への取り組みを支援するため、適切なノウハウと専門知識を持つ強力なパートナーに頼る必要がある」と語った。
両社の戦略的背景
Adこの提携は、両社が直面する課題を解決する上で重要な意味を持つ。中国の自動車メーカーは、EVに最低限の現地部品使用を義務付ける「メイド・イン・ヨーロッパ」条項を含むEUの新規制に先駆け、欧州大陸での生産拠点の確保を急いでいる。吉利にとって、これは欧州初の生産施設となる。
一方、フォードは欧州事業の再編を進めており、バレンシア工場の活用が急務だった。同工場の年間生産能力は約50万台だが、GlobalDataによると2025年の稼働率はわずか26%にとどまっていた。上海のコンサルティング会社Automobilityのビル・ルッソCEOは、「フォードの観点からすれば、これは現実的な動きだ。固定費を削減し、工場を維持し、余剰能力を効果的に収益化できる」と分析している。
市場への影響
今回の提携は、余剰生産能力を抱える伝統的な自動車メーカーと、市場アクセスを求める新興の中国EVメーカーとの協力関係が加速していることを象徴している。フォードは固定費を圧縮しながら、吉利が持つ迅速なEV開発のノウハウに触れる機会を得る。一方、吉利は欧州での生産基盤を確保し、将来の関税や規制のリスクを回避することが可能になる。
この動きは、欧州第二の自動車生産国でありながら人件費やエネルギーコストが比較的低いスペインに、中国メーカーの関心が集まっていることも示している。世界最大のEVメーカーであるBYDもスペインを候補地の一つとして挙げており、今後も同様の提携が続く可能性がある。