Story
デリバリーヒーロー株が下落、ウーバーの買収提案に潜むリスクを市場が織り込む

Summary
ウーバー・テクノロジーズがデリバリーヒーローへの正式な公開買付けを開始したが、同社株価は買付価格を下回って推移。規制当局の審査や長期にわたる買収手続きへの懸念が、株価の重しとなっている。
ドイツのフードデリバリー大手デリバリーヒーロー(DHER)の株価は、取引開始直後に52週高値を更新した後、下落に転じた。これは、米ウーバー・テクノロジーズが同社に対する正式な公開買付け(TOB)を開始したことを市場が消化する中での動きである。
ウーバーによる正式な買収提案
ウーバーは、デリバリーヒーローの株式を1株当たり現金41.50ユーロで取得する自発的な公開買付けを正式に開始した。この買付価格に基づくと、デリバリーヒーローの企業価値は148億ドルと評価される。ウーバーが既に保有する株式を考慮すると、実質的な買収額は137億ドルとなる。
デリバリーヒーローの経営陣および監査役会は、この提案を全会一致で支持しており、株主に対して本公開買付けに応募するよう推奨する意向を示している。また、大株主であるプローサス(Prosus)も、保有する約16.8%の株式を売却することを不可撤回的に約束している。
株価の重しとなる買収成立への不確実性
現在の株価(38.85ユーロ)と買付価格(41.50ユーロ)の差は、典型的なM&Aアービトラージ・スプレッド(価格差)を反映している。この価格差は、買収が完了するまでのリスクを市場が織り込んでいることを示唆しており、アナリストは複数の要因を指摘している。
Ad- 最低応募株式数: 買付けの成立には、発行済み株式の50%+1株以上の応募が必要となる。
- 規制当局の審査: 欧州や中東の一部地域で事業が重複するため、規制当局による厳格な審査が予想される。
- 長期のタイムライン: 買収手続きの完了は2027年後半と見込まれており、この長い期間が不確実性を高め、投資家が要求するディスカウントを拡大させている。
背景と市場環境
デリバリーヒーローは、独占禁止法上の懸念に事前に対処するため、投資会社SSWパートナーズとの間で、トルコ事業の「Yemeksepeti」など一部事業を売却する契約を別途締結した。しかし、当日の欧州STOXX 600指数や米国株価指数が軟調に推移するなど、広範な市場のリスクオフ地合いも、投機的なディール銘柄のポジションにさらなる売り圧力となった。
フードデリバリー業界では、パンデミック後の成長鈍化と運営コストの上昇を背景に、業界再編の動きが活発化している。今回の株価の動きは、買収提案を好感した数日間の上昇の後、市場が冷静にリスクを再評価した結果と言える。ウーバーによる買収提案は確定したものの、その完了が保証されたわけではなく、投資家は規制上の遅延や不確実性を株価に織り込んでいる。