Story
ウクライナ、アゾフ海でロシア船舶への攻撃を激化 ロシアは「テロ」と非難

Summary
ウクライナがロシアの主要な穀物輸出ルートであるアゾフ海で船舶攻撃を拡大し、ロシアはこれを「テロ行為」と非難。紛争は新たな局面に突入し、世界の穀物供給網への影響が懸念されている。
ウクライナは、ロシアの穀物輸出の約4分の1を担う重要な海上ルートであるアゾフ海で、ロシア船舶への攻撃を激化させている。これに対しロシアは14日、ウクライナの行為を「テロ」と激しく非難し、両国間の紛争が海上物流を巻き込む新たな段階に入ったことを示唆した。
アゾフ海での攻撃激化
ウクライナのドローン部隊司令官ロベルト・ブロヴディ氏はメッセージアプリ「テレグラム」への投稿で、ウクライナのドローンが一夜にしてアゾフ海でロシアの船舶11隻を攻撃したと発表した。標的となったのはタンカー5隻、乾貨物船5隻、タグボート1隻が含まれるという。同氏によると、これにより過去9日間で攻撃された船舶の総数は116隻に上る。
ロイター通信が取材した匿名の業界関係者によると、7月13日と14日には複数の穀物船が被弾し、火災が発生した。ある関係者は「船は射撃隊の前に立つ標的のようだ。数日もすれば、アゾフ海には損傷していない船は一隻も残らないだろう」と現状の深刻さを語った。
ロシアの非難と輸出への影響
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナの攻撃を「海賊行為をも超えている」と述べ、「これは純粋なテロだ」と断じた。ロシア側は、この攻撃がロシア経済、特に穀物輸出に損害を与え、威嚇することのみを目的としていると主張している。
Adこの事態を受け、アゾフ海での船舶の航行は14日も制限されたままだと報じられている。同海はロシア南部の主要穀倉地帯を流れるドン川の河口に位置しており、物流の混乱はロシアの穀物輸出能力に直接的な影響を及ぼす可能性がある。
市場への波及と今後の見通し
ウクライナ軍関係者はロイターに対し、「ウクライナ軍は軍事目標、もしくはロシアの戦闘能力強化に貢献する目標のみを攻撃対象としており、民間の貨物はそれに含まれない」と反論。ロシアが民間船への攻撃を主張するのは、ウクライナの民間インフラへの攻撃を正当化する口実を探しているためだと指摘した。
ロシア農務省は、必要に応じて供給ロジスティクスを黒海やバルト海の港など他のルートに振り向ける方針を示した。ロシア穀物輸出生産者組合も、アゾフ海の状況にかかわらず、海外パートナーとの輸出契約は完全に履行されると表明している。しかし、代替ルートへの変更はコスト増と時間的な遅延を招く可能性があり、世界の食料品価格や商品市場のボラティリティを高める要因となり得る。