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ウクライナ戦争を受け、欧州でミサイルの「安価・大量生産」需要が急増

Summary
ウクライナでの戦争は、高性能兵器の備蓄の限界を露呈させた。これを受け、欧州各国は従来の防衛調達を見直し、安価で大量生産可能なミサイルや迎撃システムの開発・確保を急いでいる。
ウクライナでの戦争と中東での紛争を受け、欧州の軍事戦略が大きな転換点を迎えている。高価な高性能兵器の限られた備蓄では現代の消耗戦に対応できないという現実が明らかになり、より安価で大量に配備可能なミサイルや迎撃システムへの需要が急速に高まっている。
ウクライナが示した「現代の戦争」の現実
ウクライナ東部では、ロシアによるドローンやミサイル攻撃が続いており、平時の調達計画がいかに不十分であったかを浮き彫りにした。国際戦略研究所(IISS)のダグラス・バリー氏は「巡航ミサイルの在庫が十分だと考えているなら、おそらくそれは間違いだ」と指摘する。
アナリストによれば、欧州の防衛産業は長年、戦時下の大規模生産よりも高性能兵器の少量生産に注力してきた。その結果、各国政府は現在、ロッキード・マーティン社やラインメタル社などが製造する先進兵器と並行して、より安価で大量に配備できるシステムの確保を急いでいる。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の研究者マルクス・シラー氏は「大規模な戦争は、驚異的な兵器ではなく、数によって戦われる」と述べている。
防衛スタートアップの台頭と新たな調達動向
この需要の変化を好機と捉え、新世代の防衛スタートアップが安価なミサイルの開発で存在感を増している。これらの企業は、大規模生産を前提とした設計を強みとする。
Ad- オランダは6月、欧州のスタートアップ企業Destinus社に対し、ウクライナ向けに巡航ミサイル「Ruta Block 2」を700基、2億5000万ユーロで発注した。
- 英国国防省は、Cambridge Aerospace社に迎撃ミサイル「Skyhammer」の初期契約を発注した。
ウクライナのスタートアップFire Point社は、米国のパトリオット迎撃ミサイルの4分の1から6分の1程度にあたる100万ユーロ未満で弾道ミサイル迎撃システムを開発することを目指している。ロッキード・マーティン社も今年、低コスト版パトリオットミサイルを発表したが、生産開始は2028年以降と見込まれ、価格もスタートアップが目指す水準を上回る。
課題は「生産能力」のスケールアップ
現在の課題はミサイルの設計そのものよりも、現代の紛争が必要とする規模で生産能力を構築することにあると、業界幹部は口をそろえる。Destinus社の創業者ミハイル・ココリッチ氏はロイターに対し、「欧州にとっての課題は技術の有無ではない。より大きな課題は、現代の紛争で求められる規模でシステムを生産、認定、補充する産業能力だ」と語った。
投資家もこの分野への関心を高めており、Cambridge Aerospace社は先月、生産拡大のために3億ドルを調達した。同社は来年第1四半期末までに月産2,500基の迎撃ミサイル生産を目指している。Frankenburg社のクスティ・サルムCEOは、生産能力そのものが抑止力になり得ると指摘。「敵が我々の大量生産能力を認識すれば、目的を達成できないと判断するだろう」と述べた。