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米・メキシコ貿易交渉、チーズの名称問題で難航 EUとの協定が火種に

Summary
メキシコと欧州連合(EU)が締結した貿易協定に含まれるチーズの地理的表示保護を巡り、米国が強く反発。年間10億ドル規模の市場を背景に、米・メキシコ間の貿易交渉で新たな火種となっている。
米国とメキシコの貿易交渉が、チーズの名称を巡る問題で思わぬ障害に直面している。メキシコ政府関係者によると、メキシコが欧州連合(EU)と締結した新たな貿易協定が、米国産チーズの市場アクセスを制限する可能性から、交渉の争点として浮上している。
チーズの「地理的表示」が争点に
問題の中心となっているのは、メキシコとEUが5月に署名した貿易協定だ。この協定は、パルミジャーノ・レッジャーノやフェタ、マンチェゴといった特定の地域に由来する数百の欧州製品に対し、地理的表示(GI)として特別な保護を与えるものである。
これに対し米国は、パルメザンやフェタといった名称は一般的なものだと長年主張しており、この協定が発効すれば、米国メーカーがメキシコ市場でこれらの名称を使用してチーズを販売することが制限されると反発。米乳製品輸出協会(U.S. Dairy Export Council)のハイメ・カスタネダ氏は、メキシコの行動を「全くもって間違いだ」と批判し、米国およびメキシコのメーカーが引き続き市場に参入できることを保証するようメキシコ政府に求めている。
10億ドル市場を巡る綱引き
メキシコは米国にとって、年間輸出額が約10億ドルに上る重要なチーズ市場である。一方で、EUのメキシコ向け乳製品輸出総額は年間2億ドルにとどまる。この大きな市場利権が、米国の強硬姿勢の背景にある。
Adメキシコは現在、米国およびカナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉という、経済の根幹を揺るがす重要な協議の最中にある。この状況が、チーズ問題において米国の交渉力を高める結果となっている。メキシコ経済省の報道官によると、EUとの協定は署名済みであるものの、発効には議会の批准が必要な段階だ。一方、欧州委員会の報道官はロイターに対し、協定内容の変更は不可能との見解を示している。
市場への影響と背景
メキシコは世界有数のチーズ消費国であり、国内消費の約30%を輸入品(主に米国産)が占めている。今回の対立は、大量生産を重視する米国と、地域ごとの伝統を保護するEUという、農業文化の違いを浮き彫りにした形だ。
一部のメキシコ国内のチーズ販売業者は、EUとの協定によって欧州産チーズへの関税が下がることを歓迎している。彼らは、安価な米国産チーズが国内生産者を圧迫していると指摘しており、高品質な欧州産チーズが市場に流入することで、消費者の選択肢が広がることへの期待感を示している。