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米ドローン配送競争が本格化、規制緩和が市場拡大の起爆剤に

Summary
米連邦航空局(FAA)が目視外飛行を許可する新規則案を提示したことで、米国のドローン配送市場は急拡大の転機を迎えている。ウォルマートやアマゾンなどの大手小売企業は、中国との技術覇権争いを背景に、すでに配送網の拡大を加速させている。
米国のドローン配送サービスが、規制緩和を追い風に本格的な普及期に入ろうとしている。米連邦航空局(FAA)がドローンの目視外飛行を認める新規則案を提示したことで、ウォルマートやアマゾン・ドット・コムといった大手企業は配送ネットワークの拡大を急いでおり、市場の急成長が見込まれている。
規制緩和が商用化を後押し
これまでドローン配送の大きな足かせとなっていたのが、操縦者の目が届く範囲でしかドローンを飛行させられないという規制だった。この「目視内飛行」の原則により、事業者は広範囲に監視員を配置する必要があり、コスト面から事業の規模拡大が困難だった。実際に、スーパー大手のクローガーとドローン企業Dexaが2021年に開始した実証実験は、採算が合わずわずか8カ月で中断に追い込まれた。
しかし、2025年6月のトランプ政権下の大統領令をきっかけに、FAAは目視外飛行を許可する新規則案を策定。これが導入されれば、これまで数年を要した飛行許可の取得プロセスが大幅に短縮される可能性がある。ドローン開発企業Matternetのアンドレアス・ラプトプロスCEOは、「今後数年で市場の爆発的、指数関数的な成長を触媒するだろう」と期待を寄せる。
小売大手が競争を主導
市場の転換点を見据え、大手小売企業はすでに行動を起こしている。ウォルマートは、ドローン配送回数が200万回に迫っており、現在70店舗で展開するサービスを来年末までに270店舗以上に拡大する計画だ。同社によると、ドローンの最大積載量はドローンに応じて約3~8ポンド(約1.4~3.6kg)で、アレルギー薬やキャットフードといった「緊急性が高く、利便性が求められる商品」の配送に主に利用されているという。
Ad一方、アマゾンも今週、ルイジアナ州バトンルージュに米国内10カ所目となるドローン配送網を開設し、30分以内の配送を実現している。また、アルファベット傘下のWingはウォルマートを最大顧客とし、事業拡大を推進。各社はコストについて明言を避けているが、アマゾンのドローン事業拡大グローバル責任者であるマット・マッカードル氏は、「競争力がなければ、この技術への投資を続けることはないだろう」と述べている。
市場の展望と米中競争
PwCの2024年の調査によると、米国のドローン市場は2034年まで年率65%で成長し、世界のドローン配送回数は今年の約1300万回から2034年には8億回を超えると予測されている。また、配送1回あたりのコストは2034年までに2ドルまで低下する可能性があり、従来の配送方法に比べて大幅なコスト削減が期待される。
この動きの背景には、ドローン技術における中国との覇権争いがある。米運輸省のショーン・ダフィー長官は「このエキサイティングな新技術で世界をリードするのは中国ではなく、アメリカだ」と強調。一方、中国では「低高度経済圏」が急速に成長しており、その市場規模は2030年までに2兆元(約2800億ドル)を超えると予測されている。騒音やプライバシーといった課題は残るものの、米国では官民を挙げたドローン配送網の構築が加速している。