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中国半導体戦略、SMICと華虹半導体の役割分担と市場評価

Summary
中国の半導体国産化政策を背景に、国内ファウンドリ大手SMICと華虹半導体は異なる役割を担っている。本稿では、事業規模や収益性、政府戦略における位置付け、株式市場での評価を比較分析する。
中国政府が推進する半導体自給自足の動きは、国内ファウンドリ(半導体受託製造)大手のSMIC(中芯国際集成電路製造)と華虹半導体(Hua Hong Semiconductor)に大きな追い風となっている。しかし両社は、国家を代表する規模の追求と、特定分野に特化した機動的な専門家という、それぞれ異なる役割を担っており、その戦略の違いが財務状況や市場評価に明確に表れている。
事業規模と収益性の相違
両社の事業規模には大きな差がある。Investing.comが報じた2025年度の売上高は、SMICが93億3000万ドルであるのに対し、華虹半導体は24億ドルと、SMICが約4倍の規模を誇る。SMICの売上高は2021年の54億4000万ドルから4年間で71%増加しており、安定した成長軌道を描いている。
一方、収益性では異なる様相を呈する。SMICの2025年度の売上総利益率は21.0%で、2023-24年の底(18-19%)から回復基調にある。対照的に、華虹半導体の同利益率は11.8%とSMICの半分以下にとどまる。これは、無錫の新工場建設に伴う巨額の設備投資(2024年度の設備投資額は売上高の138.7%)や、成熟ノードの供給過剰による特殊半導体の価格圧力などが要因となっている。
政府戦略における役割分担
中国政府の半導体戦略において、両社は競合するというよりは補完的な関係にある。SMICは、7nmや5nmといった先端プロセスの開発を主導する「国家チャンピオン」と位置づけられている。日本経済新聞が2026年2月に報じたところによると、中国は今後1〜2年で先端プロセスによるウェハーを月産10万枚生産する目標を掲げており、SMICはその中核を担う存在だ。
Ad他方、華虹半導体はパワー半導体、EV(電気自動車)向けのIGBT、IoT(モノのインターネット)向けのNORフラッシュなど、特殊半導体に特化している。これらの分野は、中国が国内サプライチェーンの強靭化を目指す上で不可欠であり、華虹半導体もまた政策的な重要性を持つ。実際に同社の2026年第2四半期決算では、売上高が過去最高を記録するなど、特殊半導体市場の回復が鮮明になっている。
市場評価と投資家への示唆
株式市場での評価は対照的だ。華虹半導体の株価は過去1年で118%以上と急騰したが、株価収益率(PER)は300倍を超え、将来の成長期待が相当織り込まれている水準にある。対するSMICの株価は年初来で約10%下落するなど、相対的に出遅れている。
この評価の違いは、両社の異なる投資妙味を示唆している。SMICは、その規模と政府の強力な支援を背景に、先端プロセスにおける国家プロジェクトの中核を担う。一方の華虹半導体は、設備投資のピークを越え、特殊半導体の需要回復による収益改善が期待される成長株と見なされている。ただし、その高いバリュエーションは、業績が少しでも期待を裏切った場合のリスクを内包している。