Story
インド人学生、米国離れが鮮明に EUが新たな留学先として浮上

Summary
米国のビザ厳格化と高騰する費用を背景に、インド人学生の間で「アメリカン・ドリーム」が色褪せ、安価で門戸を広げる欧州連合(EU)が新たな留学先として急速に注目を集めている。
従来、インド人学生にとって主要な留学先であった米国から、欧州連合(EU)へと関心がシフトする動きが鮮明になっている。ロイター通信が報じたところによると、米国のビザ規則の厳格化や高額な学費を避け、より安価で就労機会も期待できる欧州を選択する学生が急増している。
背景:コストと移民政策の変化
この変化の背景には、複数の要因がある。教育コンサルタントのKC Overseasによれば、欧州の大学の授業料は米国に比べて50%から80%安く、生活費も低く抑えられることが多い。一方で、米国ではトランプ政権後の2025年1月から始まった移民規制強化の一環として、留学生ビザの期間を厳格化する動きが進んでいる。
インド政府のデータによると、海外に留学するインド人学生の総数は2023年の約90万8000人から2025年には約62万6000人に減少した。これは、米国だけでなく、オーストラリアや英国といった人気の留学先でも費用上昇やビザ取得のハードルが高まっていることを反映している。
インド・EU貿易協定が追い風
今年1月に締結されたインドとEUの貿易協定が、この流れをさらに加速させている。この協定には、学生や熟練労働者の移動を容易にするためのビザ手続きの簡素化や、インドの資格認定の向上などが盛り込まれている。
AdあるEU当局者はロイターに対し、「EUはインド人学生にとって主要な目的地となった」と述べ、高齢化による労働力不足を補うため、EUが積極的にインドの優秀な人材を求めていることを示唆した。留学支援プラットフォームLeapの共同設立者であるArnav Kumar氏は、この協定により、今後3〜5年で学生や労働者の流入が60%から70%増加すると予測している。
データが示すシフトと今後の課題
具体的なデータもこのトレンドを裏付けている。オランダ統計局によると、同国へのインド人留学生は2018/19年度の2,630人から2025/26年度には約3,700人に増加した。アイントホーフェン工科大学では、インドからの仮登録者数が前年の約1,390人から約2,140人へと大幅に増加した。
しかし、課題も存在する。多くの学生が、言語の壁、アムステルダムなどの主要都市における住宅不足、激しい就職競争などを指摘している。また、一部の欧州諸国における極右政党の台頭や、外国人に対する態度の硬化を懸念する声も上がっている。欧州への関心が持続的な流入につながるかは、協定の円滑な運用とこれらの課題への対応にかかっている。