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欧州天然ガス、供給リスクで高値圏維持 ECBの政策決定控え

Summary
中東の地政学的リスクの高まりと冬を前にした供給不安を背景に、欧州の天然ガス価格が数年ぶりの高値圏で推移している。市場は欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定にも注目している。
欧州の卸売天然ガス価格は10日、数年ぶりの高値圏で推移した。中東での軍事衝突の激化が世界のエネルギー供給への懸念を煽っており、冬の需要期を前に市場の緊張感が高まっている。
地政学リスクが価格を押し上げ
指標となるオランダの天然ガス先物(期近物)は、1メガワット時(MWh)あたり79.64ユーロへと0.5%上昇し、前日に記録した2023年以来の高値に迫った。英国の卸売ガス価格も同様に0.6%上昇し、1サームあたり198.00ペンスで取引され、2022年後半以来の高水準を維持している。
価格上昇の背景には、ペルシャ湾での軍事的な緊張の高まりがある。イエメンのフーシ派がサウジアラビアの複数都市を攻撃したほか、米国とイランの直接的な軍事行動も報じられており、地域の不安定化が懸念されている。特に、世界の液化天然ガス(LNG)輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡の航行が脅かされるリスクが意識されている。
低水準のガス在庫が懸念材料
この地政学的なショックは、欧州のエネルギーインフラが脆弱な時期に発生した。Gas Infrastructure Europeのデータによると、欧州の地下ガス貯蔵施設の貯蔵率は現在約62%にとどまり、過去5年間の季節平均を約17パーセントポイント下回っている。
Ad冬を前にした在庫の低迷により、欧州の電力会社はアジアの買い手と大西洋流域産のLNGを奪い合う状況に追い込まれている。原油価格が1バレル100ドル超で推移する中、エネルギー市場全体の供給不安が天然ガス価格にも波及している形だ。
ECBの金融政策決定に注目
エネルギーコストの急騰は、同日発表される欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定にも影響を与える。市場では、ECBがインフレ抑制のため、主要な預金ファシリティ金利を25ベーシスポイント引き上げ、2.50%にすることをほぼ完全に織り込んでいる。
政策立案者らは、エネルギー価格の上昇が経済全体に波及し、二次的効果としてインフレが定着することを警戒している。今回の利上げは、こうしたリスクを未然に防ぐことを目的としている。