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スズキ、インド市場で苦戦 低価格戦略が裏目、富裕層の需要変化に対応遅れ

長年にわたり牙城としてきたインド自動車市場で、スズキがシェアを落とし苦戦している。所得向上を背景に現地の消費者がサンルーフなどの多機能性を備えたSUVを求めるようになる中、同社の伝統的な低価格・実用性重視の戦略が市場の変化に追いついていないことが浮き彫りとなった。
市場シェア低下の背景
かつてインドの新車販売の半数以上を占めた同社のインド法人マルチ・スズキの市場シェアは、現在約39%まで低下し、過去最低水準に近づいている。ロイター通信が複数の関係者への取材で報じたところによると、この背景には、インドの消費者の嗜好が手頃なハッチバックから、より大型で装備が充実したSUVへと急速にシフトしたことがある。
象徴的なのが、インドで社会的地位のシンボルとなりつつあるサンルーフの導入だ。マルチ・スズキがサンルーフ搭載車を市場に投入したのは2022年だが、その頃には競合のタタ・モーターズやマヒンドラ&マヒンドラはすでに販売車種の約4分の1から3分の1に標準装備していた。スズキの日本本社経営陣は、インドの高温多湿な気候やコスト増を理由に、こうした装備の追加に長年慎重だったと関係者は指摘している。
収益は好調も、ブランドイメージに課題
市場シェアは低下しているものの、マルチ・スズキのインド事業は依然として高い収益性を誇る。過去5年間で売上高は190億ドルへと倍増し、利益は15億ドルへと3倍に増加した。スズキの全世界での販売台数の約6割、利益の約半分をインド市場が占めており、同社にとって極めて重要な拠点であることに変わりはない。
Adしかし、大きな課題はブランドイメージだ。野村證券のアナリストは、若いドライバーから「親世代のブランド」と見なされるリスクを指摘する。JATO Dynamicsのデータによると、15,500ドル以上の価格帯の車種がマルチ・スズキの販売に占める割合は3%未満であるのに対し、業界全体では21%以上となっており、高価格帯での訴求力に欠けることがわかる。
巻き返しに向けた新戦略
この「過去40年で最も厳しい状況」(鈴木俊宏CEO)を打開するため、スズキは戦略転換を急いでいる。同社はインドでの巻き返しに向けて以下の施策を進めていると報じられている。
- インドにおける研究開発(R&D)チームの拡充
- 現地経営陣への意思決定権限の移譲
- 製品開発期間の平均48ヶ月から36ヶ月への短縮
- 2030年までに7車種の新型SUVを投入する計画
こうした取り組みを支えるため、スズキはトヨタ自動車と共に2030年までにインドで累計110億ドルを投資する計画を発表している。しかし、高価格帯SUV市場では競合他社がすでに確固たる地位を築いており、スズキが「手頃な価格の車」という長年のイメージを覆し、新たな顧客層を獲得できるかが今後の焦点となる。