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イラン情勢緊迫化、エンジンオイル供給に懸念 基油価格3倍に高騰、自動車各社は代替調達急ぐ

Summary
イランでの紛争が原因で、高品質なエンジンオイルの基油供給が深刻な影響を受けている。価格が約3倍に高騰する中、ステランティスやVWなど世界の自動車メーカーは代替品の確保と潤滑油の再配合を迫られている。
イランでの紛争激化を受け、エンジンオイルのサプライチェーンに深刻な混乱が生じている。高品質な潤滑油の原料となる「グループIII基油」の供給が滞り、価格が急騰。ステランティス(STLA)やフォルクスワーゲン(VOWG)といった世界の大手自動車メーカーは、代替品の確保や新たな潤滑油配合への切り替えを急ぐ事態となっている。
地政学リスクが供給網を直撃
報道によると、今回の供給不安の引き金となったのは、イランが3月にカタールにあるシェル(SHEL)社の天然ガス液化(GTL)プラントを攻撃したことだ。この攻撃により、エンジンオイルの製造に不可欠な高品質グループIII基油のサプライチェーンが深刻な打撃を受けた。
その結果、欧米市場におけるグループIII基油の価格は、紛争前の水準から約3倍となる1トンあたり約4000ドルまで高騰。高品質な基油の在庫が枯渇し、市場の逼迫感は強まっている。
自動車メーカー各社、代替品確保に奔走
供給危機を受け、自動車メーカーは代替サプライヤーの確保に動いているが、その代替供給も極めて限定的だという。各社の対応は以下の通り。
Ad- ステランティス: 「再配合された潤滑油」を評価し、業界基準を満たす代替品を確保したとメディアに説明。「車両の保守・点検活動への影響を最小限に抑える」ことに注力していると付け加えた。
- フォルクスワーゲン: 現時点での供給は確保しているとしつつ、同社の「技術仕様と品質要件」を満たす他の調達選択肢を評価中であると述べた。
- トヨタ自動車(TM): 代替の供給源を確保済み。
- スズキ(7269): 鈴木俊宏社長は株主に対し、基油サプライヤーの多様化を進めていると説明した。
- 日産自動車(7201): 5月に販売店に対し、「大半の潤滑油製品で生産能力が低下している」と通知。高品質オイルの供給を制限し、代替品の調達を進める方針を示した。
市場の見通しと専門家の警告
市場の先行きは依然として不透明だ。Argus Mediaで基油価格のグローバル責任者を務めるガブリエラ・トワイニング氏は、中東の一部のサプライヤーが在庫切れを理由に不可抗力を宣言したと指摘。「たとえ明日ホルムズ海峡が開放されたとしても、欧米への供給再開は早くても10月になる」と警告している。
また、独立潤滑油製造者協会のホリー・アルファノCEOは、「他のサプライヤーからの供給量も限られている。さらなる輸送の混乱や製油所の停止など、新たな供給ショックが起これば、状況は急速に悪化しかねない」と述べ、業界が「ほとんど失敗の許されない状況」にあるとの見方を示した。