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フェストアルピーネ株が急騰、JPモルガンの2段階格上げとEUの輸入規制強化を好感

オーストリアの鉄鋼大手フェストアルピーネ(Voestalpine AG)の株価が10日の取引で6.3%急騰し、43.36ユーロに達した。JPモルガンが同社の投資判断を「アンダーウェイト」から「オーバーウェイト」へと一気に2段階引き上げたことが、株価上昇の直接的な引き金となった。
JPモルガン、投資判断を2段階引き上げ
JPモルガンのアナリスト、ドミニク・オケイン氏は、3月9日に示した弱気なスタンスを完全に覆し、フェストアルピーネの格付けを引き上げた。同氏のメモによると、この動きは欧州鉄鋼セクター全体への再評価を反映したもので、ドイツの同業ザルツギッター(Salzgitter)も「オーバーウェイト」に、アルセロール・ミッタル(ArcelorMittal)は「ニュートラル」にそれぞれ格上げされた。
オケイン氏は、政治的な保護措置が具体的な効果を上げており、企業の収益モメンタムが加速する見込みだと指摘。2026年後半には欧州の鉄鋼価格が上昇すると予測している。
背景:EUの新たな鉄鋼輸入規制
今回の格上げの根拠となったのは、7月1日に発効したEUの新たな鉄鋼輸入セーフガード(緊急輸入制限)措置だ。この新制度は、安価なアジア製鉄鋼との競争環境を大きく変えるものと見られている。
主な変更点は以下の通り。
Ad- 無関税の輸入割当枠を40%以上削減
- 割当枠を超えた輸入品に課される関税率を従来の2倍である50%に引き上げ
この貿易政策の転換が、欧州の鉄鋼メーカーにとって強力な追い風になるとJPモルガンは分析している。
良好なファンダメンタルズも追い風に
フェストアルピーネ自身の財務状況も、今回の格上げを後押しする材料となった。同社は前会計年度に純利益を約3倍の4億2400万ユーロに伸ばし、純負債を過去20年で最低水準まで削減した。2026/27年度のEBITDA(利払い・税・償却前利益)については、16億〜18億5000万ユーロとの見通しを示している。
この日のオーストリアATX指数がほぼ横ばいであったことからも、今回の株価上昇が市場全体ではなく、同社およびセクター固有の要因によるものであることが示された。大手投資銀行による評価の転換と、それを裏付ける政策変更が、投資家に新たな買い材料を提供した形だ。