Story
トランプ氏、サウジの民生用原発協定に新条件 「アブラハム合意」参加を要求

Summary
トランプ米大統領は、サウジアラビアとの民生用原子力協定を進める条件として、同国がイスラエルとの国交を正常化する「アブラハム合意」に参加することを要求した。エネルギー省が基本合意に署名した直後の方針転換は、協定の先行きに不透明感をもたらしている。
ドナルド・トランプ米大統領は24日、サウジアラビアとの民生用原子力協力協定について、サウジがイスラエルとの国交正常化を目指す「アブラハム合意」に参加しない限り、協定を推進しない考えを明らかにした。この新たな条件は、米エネルギー省がサウジ側と基本合意に署名した直後に示されたもので、中東の地政学とエネルギー政策が複雑に絡み合う状況を浮き彫りにしている。
突然の方針転換
米エネルギー省は22日、クリス・ライト長官とサウジアラビアのアブドルアジズ・ビン・サルマン・エネルギー相が、石油大国であるサウジで初となる商業用原子炉の開発に関する合意に署名したと発表していた。この合意は今後、米議会での審査に進む予定だった。
しかし、トランプ大統領は23日にソーシャルメディアへの投稿で初めてこの条件に言及し、24日にはホワイトハウスで記者団に対し「合意を進めるには、彼ら(サウジアラビア)がアブラハム合意のメンバーになる必要がある」と明言した。大統領は、ライト長官が署名する前にこの条件について直接話してはいなかったとしつつも、「常に理解されていたことだ」と述べた。
合意の背景とサウジの立場
Ad米国とサウジアラビアの原子力協定は、トランプ政権の第一期から交渉が進められてきた経緯がある。バイデン前大統領もこの協定を推進し、アブラハム合意と結びつけることを目指していた。
一方、サウジアラビアはこれまで、イスラエルを国家として承認する前に、パレスチナ国家樹立に向けた後戻りできない道筋が示されることを条件としており、アブラハム合意には署名していない。トランプ大統領が追加した条件について、サウジアラビア政府からのコメントは得られていない。
市場への影響
この原子力協定が実現すれば、カナダのカメコ社とブルックフィールド・アセット・マネジメント社が共同所有する米国の原子炉メーカー、ウェスチングハウス社に利益がもたらされると見られている。しかし、今回提示された新たな政治的条件により、協定の将来は中東の複雑な外交交渉に左右されることになり、関連企業にとっては不確実性が高まった形だ。