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マイクロンの業績急拡大、HBMがもたらす構造変化か、それとも新たな景気サイクルの山か

米半導体大手マイクロンテクノロジー(MU)の業績は、人工知能(AI)向け半導体需要を背景に、歴史的な赤字から急激な回復を遂げている。投資家の最大の関心事は、この成長がAIインフラに不可欠なHBM(広帯域幅メモリー)によってもたらされた持続的な構造変化なのか、それとも同社がこれまで繰り返してきた好不況の波(ブーム・バスト・サイクル)の新たなピークに過ぎないのかという点にある。
AI需要が支える記録的な業績
マイクロンの業績回復は劇的だ。2023年度に-5.34ドルだった1株当たり利益(EPS)は、2026年度には73.23ドルに達すると予想されている。同社は直近6四半期連続で市場予想を上回る決算を発表しており、特に2026年度第3四半期(6月期)の売上高は市場予想を57.7億ドル上回るなど、力強い成長を示した。アナリストによるEPSのコンセンサス予想は、過去12ヶ月で794%も上方修正されている。
HBMがもたらす構造変化への期待
強気派の論拠の中心は、HBMがマイクロンの事業モデルを根本的に変えつつあるという見方だ。従来の汎用DRAMやNANDのコモディティ生産者から、AIインフラに不可欠なサプライヤーへと変貌を遂げているとの期待が高まっている。これを裏付ける主な要因は以下の通りだ。
- 複数年にわたる供給契約は1000億ドルを超え、最低価格保証により売上総利益率は過去のピークを上回る61%以上が確保されている。
- 米国に拠点を置く唯一のHBMメーカーとして、NVIDIA(NVDA)のAIプロセッサーに製品を供給している。
- みずほ証券によると、HBM4のNVIDIAへの出荷が開始され、NANDの契約価格は前年比で最大+400%、DRAMは+393%の上昇の可能性がある。
- KeyBancは、2028年まで続くと予想される供給逼迫を理由に、目標株価を1,750ドルに設定している。
Ad歴史が示す景気サイクルのリスク
一方で、マイクロンの歴史は投資家にとって警戒材料となる。同社の売上総利益率は2022年度の45.2%から2023年度には2.7%へと1年でほぼ崩壊した経緯がある。長期契約が本当に下値を支えるのか、それとも下落を先延ばしにするだけなのかが持続可能性の鍵を握る。
- 著名投資家マイケル・バーリ氏が空売りポジションを公表しており、周期的な平均回帰を予想している。
- HBMで世界シェア約60%を占める競合のSKハイニックスがナスダックに上場し、マイクロンの代替投資先となる可能性がある。
- 売上高が急増する一方で、2025年度のレバレッジド・フリーキャッシュフローは16.7億ドルにとどまる見込み。米国での2500億ドル超を含む巨額の設備投資がキャッシュを圧迫している。
- HSBCは、ハイパースケーラー(巨大IT企業)の設備投資が減速する可能性を投資家の懸念材料として指摘している。
マイクロンの予想株価収益率(PER)が13.1倍であることは、市場が業績予想に対して相当な懐疑的な見方をしていることを示唆している。HBMの長期契約や供給逼迫は、過去のサイクルにはなかった強固な収益基盤を築いているが、景気サイクルのピークを恒久的な高台と見誤ることの危険性を、同社は過去に何度も市場に教えてきた。この不確実性こそが、現在のマイクロンの株価にとって最大のリスクであり、同時に機会でもあると言えるだろう。