Story
ハウメット・エアロスペース株が急落、スペースXの内製化計画を嫌気

航空宇宙・防衛産業向け精密部品メーカーのハウメット・エアロスペース(Howmet Aerospace)の株価が9日の取引で大幅に下落しました。イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXが、主要部品であるタービンブレードを内製化する方針を示したことが直接の引き金となり、投資家の間で将来の需要に対する懸念が広がりました。
スペースXの内製化が懸念材料に
イーロン・マスク氏は、スペースXが新型タービンエンジンの開発を加速させるため、ブレードとベーン(静翼)の鋳造を自社で行うと発表しました。この発表を受け、市場ではハウメットの精密航空宇宙部品にとって重要な潜在的需要源が失われるとの懸念が浮上。これまで同社の高い株価評価を支えてきた供給の希少性という論理が揺らぐ事態となりました。
このニュースを嫌気し、同社の株価は午前の取引で一時6.5%安の238.77ドルまで下落しました。
ウォール街の見方は分かれる
一方で、ウォール街の一部の金融機関は、市場の反応は過剰だと指摘しています。ドイツ銀行のアナリストは、競争上の脅威は市場が織り込んでいるほど深刻ではなく、スペースXが将来的にハウメットのような既存メーカーと協力する可能性は依然として残されているとの見方を示しました。
Adまた、バーンスタインは同社に対する「アウトパフォーム」の評価を維持し、目標株価を328ドルに引き上げています。その理由として、主要なガスタービンメーカーと2030年まで続く長期供給契約を結んでいることや、ブレード生産能力を38%拡大する計画を挙げています。
高いバリュエーションとイベント前の売り
今回の株価下落には、いくつかの複合的な要因が影響しています。同社の株価収益率(PER)は同業他社に比べて割高な水準にあり、悪材料に対して脆弱な地合いとなっていました。加えて、過去1年間にわたるインサイダーによる株式売却も市場心理を冷え込ませる一因と見られています。
さらに、翌日にニューヨークで開催されるジェフリーズ・グローバル・インダストリアル・カンファレンスでは、ジョン・C・プラント最高経営責任者(CEO)の講演が予定されています。一部の投資家は、同氏の発言がスペースXに関する懸念を払拭できなかった場合のリスクを回避するため、イベント前にポジションを減らす動きを見せています。記録的な利益率や好調な第2四半期決算後の通期業績見通しの上方修正など、同社のファンダメンタルズは堅調ですが、短期的な株価への圧力は避けられない状況です。