Story
欧州株は反発、中東情勢緊迫化によるインフレ懸念が上値抑制

Summary
9日の欧州株式市場は、前日に中東の地政学リスクを背景に数カ月ぶりの急落を記録した後、自律反発で始まった。しかし、原油価格の高騰がインフレ懸念を再燃させており、上値の重い展開となっている。
9日の欧州株式市場は、前日に中東の地政学リスクの高まりを背景に数カ月ぶりの大幅な下げを記録した後、小幅に反発して始まった。汎欧州株価指数のSTOXX 600は序盤の取引で0.5%上昇したが、投資家の間では依然として警戒感が広がっている。
中東の地政学リスクが市場を直撃
今回の急落の引き金となったのは、中東情勢の急激な悪化だ。トランプ米大統領がイランとの暫定合意の「終了」を宣言し、米軍がイランの軍事インフラに対する空爆を2日連続で実施したと報じられた。これは、イラン軍がホルムズ海峡で商業船舶を標的にしたとされる動きへの対抗措置とみられている。
この報道を受け、8日のSTOXX 600指数は1.6%安と、3月中旬以来の日中の下落率としては最大を記録し、約2週間ぶりの安値水準に沈んだ。9日の市場では、ドイツのDAX指数が0.7%高、フランスのCAC 40指数が0.6%高となるなど、買い戻しの動きが見られたが、英国のFTSE 100指数は0.2%安と軟調だった。
インフレ再燃と金融政策への影響
Ad市場が最も懸念しているのは、地政学リスクがエネルギー主導のインフレを再燃させることだ。世界の石油消費量の約2割が通過する重要海上交通路であるホルムズ海峡での供給途絶懸念から、原油価格は急騰している。
エネルギー価格の高騰が続けば、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(BOE)の中立的な金融政策スタンスが転換を迫られる可能性がある。コストプッシュ型のインフレが定着するとの見方が強まれば、金利を「より高く、より長く」(higher-for-longer)維持するシナリオが現実味を帯び、株式市場の重荷となりかねない。この懸念を反映し、国債利回りも高止まりしている。
個別銘柄の動向
個別株では、好決算を発表したドイツのショット・ファーマが20%の急騰を見せた。一方で、英製薬大手のアストラゼネカは、神経疾患治療薬の後期臨床試験が目標を達成できなかったと発表し、株価が9%下落した。