Story
DBS、2030年までに富裕層向け資産1兆シンガポールドル目標 アジアの富拡大を背景に

Summary
シンガポール最大の銀行DBSグループは、富裕層向けウェルス・マネジメント事業の運用資産残高(AUM)を2030年までに1兆シンガポールドル(約7740億米ドル)超に拡大する目標を発表した。アジアの富裕層増加と地域金融ハブへの資金流入を追い風に成長を加速させる。
シンガポール最大の銀行であるDBSグループは、富裕層向けウェルス・マネジメント事業の運用資産残高(AUM)を2030年までに1兆シンガポールドル(約7740億米ドル)超に拡大するという新たな目標を掲げた。これは、アジアにおける富の増大と、シンガポールへの資金流入が続くとの見通しに基づく野心的な計画である。
成長目標の詳細
この目標は、同行のコンシューマー・バンキングおよびウェルス・マネジメント部門の責任者であるシー・ツェ・クーン氏がメディア向け説明会で明らかにした。2025年末時点の運用資産残高6320億シンガポールドルから、約4000億シンガポールドルの上積みを目指すものとなる。
シー氏は、「2015年から2025年までの10年間で、当行のAUMは4000億シンガポールドル増加した。この実績を踏まえ、今後は同じ4000億シンガポールドルを半分の期間で達成することを目指す」と述べ、成長ペースを倍増させる意欲を示した。
アジア市場の追い風とシンガポールの役割
この強気な目標の背景には、アジアにおける富の増加と、世界的な資産がアジアへシフトしているというマクロ経済的なトレンドがある。シー氏はこれらのトレンドが「追い風になる」との見方を示した。
Ad特にシンガポールは、地政学的・経済的な不確実性が高まる中で「安全な避難先」としての魅力が増しており、富裕層からの資金流入が続いている。DBSによると、今年5月時点での富裕層および超富裕層の新規顧客数は前年同月比で20%増加した。同行はシンガポールに設立されたシングル・ファミリー・オフィスの3分の1以上と取引があるという。
事業拡大に向けた具体的な投資
目標達成のため、DBSは人材と物理的な拠点網の拡充に大規模な投資を行う計画だ。主要市場であるシンガポール、香港、中国、インド、インドネシア、台湾を中心に、以下の戦略を実行する。
- 人材採用: 2028年末までに、リレーションシップ・マネージャーやプラットフォーム・エンジニアを600人以上採用する。
- 拠点拡大: 2027年末までにアジア全域で新たに18のウェルス・センターを開設し、今後18ヶ月で既存の36拠点を改装する。これは同行のウェルス・マネジメント事業における過去最大規模の拠点拡張となる。
シー氏は、「重要なのは前線の担当者だけではない。能力とキャパシティを構築するためには、エンジニア、技術者、プラットフォーム担当者が必要だ」と述べ、包括的な体制強化の重要性を強調した。