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AIは市場効率を向上させる一方、テールリスクを増大させる可能性=バーンスタイン

人工知能(AI)は多くの分野で金融市場の効率性を高めている一方で、ボラティリティや市場の混乱を増幅させかねない新たなリスクも生み出している。バーンスタイン(Bernstein)が発表した調査ノートで指摘された。
市場効率性の向上
企業レベルでは、AIは決算報告書や規制当局への提出書類、オルタナティブデータなどを人間より高速に処理することで市場効率を向上させている。これにより、情報格差が縮小し、価格発見機能が改善。アナリストの業績予想が実際の結果に迅速に収斂するため、決算サプライズの規模も縮小する傾向にあるという。
また、AIはリサーチのプロセスそのものを変革している。決算内容のレビューや財務モデルの更新、新規銘柄のカバレッジ開始といった作業が自動化され、アナリストはより多くの企業を分析することが可能になった。特に過去1年間で新興国の中小型株に対するカバレッジが急増しており、リサーチが手薄な銘柄に付随する長年のバリュエーション・プレミアムが是正される可能性がある。
新たなリスクとボラティリティの増幅
しかし、類似のAIモデルが普及することは、新たな脆弱性を生む可能性がある。多くの投資家が重複するデータで訓練された同様のツールに依存するようになると、取引シグナルが同質化し、ポジションの集中(クラウデッド・トレード)を助長する。その結果、市場がストレス下にある局面では、反転がより深刻化する恐れがある。
Ad同ノートは、こうしたリスクを示す最近の事例として、2024年8月に起きた円キャリートレードの巻き戻しや、AIが生成した偽情報によって米国株が一時的に変動したケースを挙げた。これらは、自動化された戦略や合成コンテンツが、市場が情報を検証する時間もないままにボラティリティを加速させる可能性を示唆している。
「再帰性」の問題とテールリスク
もう一つの課題は、アナリストが「再帰性の問題」と呼ぶ現象だ。AIが生成した推奨が投資家行動に影響を与え、それが価格を動かし、その価格変動が将来のAIモデルの出力をさらに強化するというフィードバックループが生じる。このループは、モメンタム取引を強め、市場の集中度を高め、バリュエーションの極端化を招く可能性がある。
これらの分析を総合すると、AIはリサーチと執行の改善を通じて平均的な市場の非効率性を減少させる一方で、市場のストレス時にはより大きな混乱が生じる可能性を高めると結論付けられる。つまり、平均的な非効率性は低下するものの、「テールリスク」(発生確率は低いが、起きた場合の影響が極めて大きいリスク)は増大するということだ。