Story
パイパー・サンドラー、ブレント原油価格見通しを90ドルに引き上げ 地政学リスクを背景に

Summary
パイパー・サンドラーは、中東の供給停滞とロシアの精製能力低下を理由に、2026年下期のブレント原油価格見通しを1バレル90ドルに引き上げた。同社は、この予測でさえ過小評価である可能性を警告している。
投資銀行のパイパー・サンドラーは、中東における供給の膠着状態とロシアの製油能力の大幅な削減を理由に、2026年下期のブレント原油価格見通しを1バレルあたり10ドル引き上げ、90ドルに修正した。同社は、この新たな予測ですら過小評価である可能性も指摘しており、調査機関としては異例の強い警告を発している。
原油価格見通しの上方修正
パイパー・サンドラーは、世界の石油需給バランスが7月の予測よりも逼迫しているとの見方を示した。今回の見通し引き上げの主な要因は以下の2点である。
- 中東の供給停滞: 中東における供給制約はより深刻化しており、外交的・軍事的に紛争終結に向けた動きが見られない「膠着状態」が続いている。
- ロシアの精製能力低下: ロシアの製油能力が大幅に削減されたことで、世界市場への原油輸出が減少し、価格を下支えしている。
原油価格の上昇は、S&P500エネルギーセクターに含まれる総合石油大手や探鉱・生産(E&P)企業のキャッシュ創出能力と株主還元にとって、直接的な追い風となる。
予測引き上げの背景と上振れリスク
Ad今回の修正について、同社は「主に市場実勢に合わせた修正」と位置付けている。第3四半期のブレント原油の平均価格はすでに1バレル88ドルに達しており、7月中旬に設定した80ドルの中間価格を大幅に上回っていた。
さらに注目すべきは、パイパー・サンドラーが新たな目標価格ですら低すぎる可能性を認めている点だ。報告書では「第4四半期の90ドルという予測は、過小評価であることが判明するかもしれないと懸念している」と述べ、予測を上方修正した直後にさらなる上振れリスクを示唆した。ホルムズ海峡で再び供給障害が発生したり、ウクライナがロシアの製油施設に新たな攻撃を仕掛けたりした場合、価格は同社の予測を上回る可能性がある。
天然ガス市場には慎重な見方
原油とは対照的に、米国の天然ガス市場に対しては慎重な姿勢を崩しておらず、その見通しは市場コンセンサスを下回っている。その根拠として、ガス貯蔵量がシーズンを通じて5年平均を上回る黒字を維持していることや、平均価格が100万英国熱量単位(MMBtu)あたり3ドルを下回っていることを挙げた。
パイパー・サンドラーは、米国の生産者が3ドル/MMBtu台の価格水準でも、国内の旺盛な電力需要や液化天然ガス(LNG)輸出需要を満たすのに十分な生産拡大が可能だと分析している。これは、市場が期待するAI(人工知能)による電力需要の急増やLNG輸出の拡大に対応するために、必ずしも大幅な価格上昇は必要ないことを示唆しており、同社が天然ガス価格に弱気な見方をする核心的な論拠となっている。