Story
金相場は小動き、ホルムズ海峡の緊張とFRBの政策見通しが交錯 米雇用統計待ち

Summary
金価格は、ホルムズ海峡における地政学的リスクの再燃が安全資産需要を支える一方、FRBのタカ派的な金融政策への警戒感が上値を抑え、ほぼ横ばいで推移した。市場の焦点は、今後の金融政策の手がかりとなる米国の雇用統計に移っている。
金価格は、中東のホルムズ海峡における地政学的緊張の高まりと、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策引き締めへの根強い懸念が綱引きとなり、方向感の乏しい展開となった。投資家は金曜日に発表される米国の主要な雇用統計を前に、様子見姿勢を強めている。
ホルムズ海峡の地政学リスクが再燃
イランのメディアは、同国がホルムズ海峡で「敵対的標的」を攻撃し、米国およびイスラエルの船舶の通航を阻止する計画であると報じた。また、イエメンのフーシ派もサウジアラビア主導の政府軍に対する大規模な攻撃の犯行声明を出し、紛争が地域全体に拡大するとの懸念が浮上している。
この緊張激化は、有事の安全資産とされる金への買いを誘った。しかし、トランプ米大統領が戦争は「間もなく」終結するとの見方を示したことや、それ以前にはイランとオマーンの間で航路再開に向けた合意が最終段階にあると報じられていたことから、楽観的な見方も残り、金価格の上昇は限定的となった。
FRBのタカ派姿勢への警戒感
地政学的リスクは、原油価格の上昇を通じてインフレを加速させる可能性がある。このため市場では、FRBがインフレ抑制のためにタカ派的な姿勢を維持するとの見方が強まっている。フィナンシャル・タイムズ紙が、ケビン・ウォルシュFRB議長がインフレ高進が続けば利上げに踏み切る用意があると報じたことを受け、市場が織り込む9月の利上げ確率は約60%となっている。
Adセントルイス連銀のアルベルト・ムサレム総裁も、生産性向上が最終的に物価圧力を緩和する可能性を待つ間、持続的な高インフレを容認するわけにはいかないと発言した。金利の上昇は、利息を生まない資産である金の保有機会費用を高めるため、価格の重しとなる。
米雇用統計と中国需要が焦点
今後の市場の最大の注目材料は、金曜日に発表される米非農業部門雇用者数(NFP)だ。この結果は、FRBの次の一手を占う上で重要な判断材料となる。一方で、中国からの旺盛な投資需要は金価格の下支え要因となっている。中国の金上場投資信託(ETF)には14営業日連続で資金が流入しており、マクロ経済の逆風にもかかわらず相場を安定させている。
IGのシニアマーケットアナリスト、トニー・シカモア氏は、金価格は6月下旬の安値圏で底を打った可能性を示唆していると指摘。今後の雇用統計の結果が、最近の上昇基調が持続的なものになるか、あるいは勢いを失うかを決定づける可能性が高いと分析している。