Story
米破産裁判所、23andMe後継企業への加州の損害賠償請求を棄却

米セントルイスの連邦破産裁判所は、2023年に約690万人の顧客情報が流出した事件を巡り、カリフォルニア州が遺伝子検査大手23andMe(現Chrome Holding Co)の後継企業に損害賠償を求めることはできないとの判断を示しました。ブライアン・ウォルシュ判事は、同社の連邦破産法第11条(チャプター11)に基づく再建計画が州による金銭的救済の追求を妨げると結論付けました。
判決の概要
ウォルシュ判事の判決により、カリフォルニア州は14日以内にサンフランシスコ高等裁判所に起こした訴訟を取り下げるか、金銭的救済の請求部分を削除するよう修正する必要があります。ただし、州が金銭以外の救済措置(差止命令など)を求めることは引き続き可能とされています。
判事は、州がチャプター11の手続きに参加しており、管轄権に異議を唱える機会があったにもかかわらず、それを行わなかったと指摘。「州は当時、当裁判所の事物管轄権に異議を申し立てる公正な機会を与えられていたため、今になって(訴訟を通じて)それに異議を唱えることはできない」と判決文で述べました。
背景と企業への影響
この訴訟は、2023年に発生し、推定690万人の顧客の遺伝子情報や個人情報が流出した大規模なデータ漏洩事件に端を発します。カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は、23andMeがシステムの脆弱性に関する警告を無視し、被害の深刻さを軽視したとして、数百万ドルに上る可能性のある民事制裁金を求めていました。
Ad23andMeは2025年3月に債権者からの保護を求めて連邦破産法第11条を申請。その後、共同創業者アン・ウォジスキ氏が管理する非営利団体TTAM Research Instituteが、昨年7月に同社の資産を3億500万ドルで買収しました。今回の判決は、後継企業であるChrome Holding Coにとって、大規模な法的・財務的リスクの一つが解消されたことを意味し、事業再建に向けた不確実性を低下させるものです。
顧客補償と今後の展望
今回の判決はカリフォルニア州にとっては敗北となりますが、データ漏洩の被害を受けた顧客への補償は別の枠組みで進められています。ウォルシュ判事は、被害者向けに設立された基金から総額4,675万ドル(約73億円)の支払いをすでに承認しています。
この事例は、投資家や企業にとって、データ漏洩に伴う巨額の賠償責任が、破産手続きを通じてどのように整理・限定されうるかを示す重要なケースとなります。企業の再建計画が、州政府による法執行措置にさえ優先される可能性を示唆しています。