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AI開発減速の呼びかけ、ウォール街のAI関連株に影落とす

OpenAIのサム・アルトマンCEOやxAIを率いるイーロン・マスク氏をはじめとする人工知能(AI)業界の主要人物らが、Anthropicのダリオ・アモデイCEOが提唱したAI開発ペースの減速を支持する考えを表明した。この動きを受け、ハイテク株の比重が高いナスダック100指数に連動する週末の先物価格は1%下落し、ウォール街の活況なAI関連取引に警戒感が広がっている。
AI業界の重鎮らが開発減速を提言
発端となったのは、AnthropicのアモデイCEOが発表した「We Must Pace the Frontier(我々はフロンティアのペースを調整しなければならない)」と題する長文のブログ投稿だ。アモデイ氏は、同社の安全対策を検証し、モデルの整合性を評価するために、第三者の評価者チームに「従業員と同様の継続的なアクセス権」を与えることなどを提案した。
この提案に対し、アルトマン氏は「フロンティアのペースを調整する必要があるというダリオの意見に同意する」と支持を表明。マスク氏もアモデイ氏の意見を「正しい」とし、「競合他社によるAIのピアレビュー(査読)から始めるのが正しい方法だ」と述べた。Alphabet傘下のGoogle DeepMindの共同創業者であるデミス・ハサビス氏や、Hugging Faceの共同創業者クレマン・ドゥラング氏も、この方向性を支持するコメントをしている。
市場への影響と投資家の懸念
AI開発の減速を求める声は、米国市場にとって大きなマイナスの材料となる可能性がある。2022年後半からのAI技術の商業化は、多くの巨大テック企業の評価額を押し上げ、S&P 500種株価指数を約4,000ポイントから7,600ポイントへと引き上げる原動力となった。
Ad特に大きな影響を受ける可能性があるのは、AIブームの恩恵を最も受けてきた半導体セクターだ。AIの処理能力を支える高性能半導体の需要は爆発的に増加し、Nvidiaなどを世界最大級の企業へと成長させた。主要な半導体株で構成されるフィラデルフィア半導体指数(SOX)は、ChatGPTが公開された2022年11月以降、318.3% という驚異的な上昇を記録している。
- 半導体株: Nvidia、AMD、Broadcom、そして世界最大の受託製造メーカーである台湾積体電路製造(TSMC)などが、AIモデルの運用に不可欠な存在となっている。
- メモリー関連株: AIインフラの構築は、より高いメモリー処理能力への需要を急増させ、Micron Technology、Sandisk、Western Digitalなどの株価を押し上げてきた。
- ソフトウェア株: 一方で、AIが既存のサービスを代替するとの懸念から、ソフトウェア株は半導体株に対して出遅れてきた。AI開発の減速は、こうした懸念を和らげる可能性があり、プラスに働くことも考えられる。iシェアーズのソフトウェア関連ETFは、2022年11月以降で86.7% 上昇している。
背景と今後の見通し
ウォール街のAI関連取引は、今年に入ってからも乱高下を繰り返してきた。4月から6月にかけての急騰の後、7月にはAIインフラへの巨額投資に対するリターンへの懸念から急落。8月にはNvidiaの好決算などを受けて持ち直していた。
最近では、地政学的リスクや金利の先行き不透明感に市場の関心が移っていたが、今回の業界内部からの開発減速の呼びかけは、再びAI取引そのものに焦点を当てるものだ。市場の最も重要な成長ドライバーの一つに新たな不確実性が加わったことで、投資家は関連銘柄の動向を注視することになるだろう。