Story
原油価格、中東リスクで週間では上昇へ 小幅反落も供給懸念が下支え

Summary
金曜早朝の取引で原油価格は小幅に下落したが、米国とイランの対立激化による供給リスクが意識され、週間では大幅な上昇となる見通し。インフレ加速による需要鈍化懸念が上値を抑えた。
金曜早朝のアジア市場で原油先物価格は小幅に下落したものの、週間ベースでは大幅な上昇となる見通しだ。米国とイランの軍事衝突激化による中東からの供給リスクが価格を押し上げる一方、世界的なインフレ加速が需要を鈍化させるとの懸念が上値を重くしている。
中東情勢の緊迫化が供給懸念を煽る
ロイター通信によると、米軍がイランの沿岸部や東部州を攻撃した後、イラン軍が湾岸諸国の米軍インフラに対して報復攻撃を開始したことで、3週間にわたる停戦は事実上崩壊した。また、イランメディアは、同国南部のブシェール原子力発電所を含む複数の場所で爆発があったと報じている。
この紛争により、世界の石油・ガス供給量の約20%が通過する主要な輸送路であるホルムズ海峡の完全な再開が遅れており、市場では供給不安が強く意識されている。投資家は、地政学的リスクの高まりが原油供給に与える影響を注視している。
市場の反応と価格動向
協定世界時(GMT)午前1時25分時点の価格動向は以下の通り。
Ad- 国際的な指標であるブレント原油先物は6セント(0.08%)安の1バレル=76.24ドル。
- 米国産標準油種であるWTI原油先物は4セント(0.06%)安の72.04ドル。
日々の値動きは小幅だが、週間ではブレントが6%、WTIが5%の上昇となるペースで推移している。ANZ銀行のシニア・コモディティ・ストラテジスト、ダニエル・ハインズ氏は、「トランプ政権がイランのエネルギーインフラを標的にしない決定を下したことで、市場はある程度の安心感を得た」と指摘する。
インフレ懸念が需要見通しに影
一方で、価格の重しとなっているのが需要サイドの懸念だ。世界第2位の経済大国である中国では、6月の生産者物価指数(PPI)が4年ぶりの高い伸びを記録した。国内需要の弱さが価格転嫁を難しくしており、製造業の利益を圧迫し、ひいては原油需要を抑制する可能性が指摘されている。
米国では、先週の新規失業保険申請件数が減少し、労働市場が安定していることを示唆したが、インフレ懸念を完全に払拭するには至っていない。市場参加者は、供給リスクと需要減速の綱引きを慎重に見極めている。