Story
マイクロンの株価が最高値から急落、強弱材料が交錯

Summary
半導体大手マイクロンの株価が史上最高値から大幅に下落した。SKハイニックスの株価不振や地政学的リスクが短期的な売り圧力となる一方、アナリストは長期的な供給不足を背景に強気の見方を維持している。
半導体メモリー大手、マイクロン・テクノロジー(MU)の株価が史上最高値から大幅に反落した。短期的なテクニカル指標は売りを示唆しているものの、長期的なファンダメンタルズに対する強気な見方は崩れておらず、市場参加者の間で今後の方向性について見方が分かれている。
急落の背景
今回の株価下落には、主に2つの要因が指摘されている。一つは、競合する韓国のSKハイニックスが7月10日にナスダック市場へ上場した際、株価が15%以上急落し、他のメモリー関連銘柄にも売りが波及したことだ。もう一つは、米国とイラン間の緊張の高まりといった地政学的リスクが、半導体セクターを中心にリスク資産全体への売り圧力となったことである。
テクニカル分析:短期と長期の乖離
テクニカル分析では、時間軸によって全く異なるシグナルが示されている。日足チャートでは、相対力指数(RSI)が41、ストキャスティクスRSIが0.000と売られ過ぎの水準に達するなど、短期的な売りシグナルが点灯している。しかし、週足や月足チャートに目を向けると、週足RSIは59と健全な水準を保っており、長期的な上昇トレンド内での一時的な調整であることを示唆している。
強気・弱気双方の見方
Ad市場の見方は強弱入り混じっている。アナリストの多くは、今回の下落にもかかわらず強気な姿勢を崩していない。
- 強気筋の見方:
- シティは投資判断を「買い」、目標株価を1,400ドルとし、「90日間上昇カタリスト・ウォッチリスト」に追加した。
- TDコーウェンも「買い」を維持し、目標株価を1,600ドルに設定。同社CEOが2027年以降も供給逼迫が続くとの見通しを示したことを指摘している。
- UBSやバンク・オブ・アメリカも、2028年第2四半期まで続くとみられるDRAMの供給不足などを理由に、買い推奨を継続している。
- DAデビッドソンは、売上高の約50%を長期供給契約(SCA)が占めるようになったことで、同社が従来の景気循環的なコモディティ企業から脱却し、「半導体業界で最も見通しの良い企業の一つ」になったと分析している。
- 弱気筋の見方:
- 著名投資家のマイケル・バーリ氏が7月1日に株価が最高値に近い水準でプットオプションを取得したことが明らかになっている。
- 6月30日には、リン・デューグル取締役が約150万ドル相当の株式を売却するなど、インサイダーによる売りが2010年以来の高水準に達している。
- 大口顧客であるCoreWeave社が、将来のメモリー価格下落に備えてデリバティブ取引の活用を検討しているとの報道も、価格リスクへの警戒感を示唆している。
今後の注目点
長期的にはHBM(広帯域メモリー)市場での優位性や需給の不均衡が株価を支えるとの見方が根強いが、短期的にはテクニカルな弱さに加え、地政学的リスクやインサイダーの動きにも注意が必要だ。当面の重要なサポートゾーンは813ドル〜825ドルとみられている。この水準を割り込み、786ドルを下回って取引を終えるようであれば、トレンドの転換が意識される可能性がある。次回の大きな材料となる決算発表は、2026年9月22日に予定されている。