Story
トランプ農政への不満が下院選の焦点に、ウィスコンシン州激戦区で

Summary
米ウィスコンシン州の農業地帯で、トランプ政権の通商・外交政策が引き起こした燃料費や肥料価格の高騰に対し、農家の不満が噴出している。11月の中間選挙では、この問題が下院の激戦区の行方を左右する可能性があり、市場関係者の注目を集めている。
米ウィスコンシン州第3選挙区で、11月の中間選挙に向けた下院議員選挙が激しさを増している。ロイター通信が報じたところによると、トランプ政権の農業政策や外交政策がもたらした経済的打撃に対する農村部の有権者の不満が、共和党現職と民主党挑戦者の接戦における最大の争点となりつつある。
背景:農家を直撃するトランプ政策
トランプ政権下での中国との貿易摩擦は、ウィスコンシン州で広く栽培されている大豆などの農産物輸出を停滞させた。さらに、イランとの軍事衝突は燃料費と肥料価格の急騰を招き、農業経営を直接圧迫している。
- 肥料価格の高騰:米農業経営者連合会(American Farm Bureau)が4月に実施した調査では、会員の70%が肥料を購入できない状況にあると回答した。
- 燃料費の上昇:米国自動車協会(AAA)のデータによると、ウィスコンシン州のディーゼル価格は1ガロンあたり5.05ドルに達し、前年の平均3.51ドルを大幅に上回っている。
現職のデリック・ヴァン・オーデン下院議員(共和党)はトランプ大統領の熱心な支持者であり、イランとの戦争は長期的に見て正当なものだと主張している。しかし、有権者からはコスト上昇に対する懸念の声が上がっており、これが民主党にとっての好機となっている。
激戦区の動向と市場への示唆
Adウィスコンシン州第3選挙区は、過去にオバマ氏とトランプ氏の両大統領が勝利した数少ないスイング・ディストリクト(激戦区)の一つだ。過去3回の選挙結果はいずれも3~4パーセントポイントの僅差で決着しており、今回も予断を許さない状況だ。
この選挙区の勝敗は、下院の勢力図を決定づける可能性を秘めている。選挙結果は、将来の農業補助金、通商政策、再生可能エネルギーへのインセンティブなど、市場に直接影響を与える経済政策の方向性を占う上で重要な指標となるだろう。ウィスコンシン大学ラクロス校のアンソニー・チャーゴスキー政治学教授は、「数学的に競争が成り立つ選挙区は、どこも大きな注目を集める」と指摘する。
有権者の声と選挙戦の展望
トランプ大統領の農村部における支持率は依然として高いものの、ロイターとイプソスが7月29日から8月3日にかけて実施した世論調査では51%となり、2025年2月の60%から低下した。この支持率の低下が、民主党候補のレベッカ・クック氏にとって追い風となっている。
酪農家の娘であるクック氏は、トランプ政権が農村部の有権者を見捨てたと主張し、地方病院への連邦支援拡大や農場の集約化抑制などを公約に掲げている。トランプ集会に参加したある農家は、ヴァン・オーデン氏に投票する可能性が高いとしつつも、燃料費と肥料価格が「我々を殺している」と述べ、イランとの戦争終結を望むなど、共和党支持層にも複雑な心情が広がっている。